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うつ病とは

 うつ病とは「なんとなく物悲しい」「気分が憂うつ」「何もする気になれない」といった「憂うつ」がひどくなった状態です。
 たとえば「気分が落ち込む」「体調がよくない」「からだが重くだるい」「食欲がない」または「食事がおいしく感じない」などです。誰しもこのような症状のうちいくつかは経験があると思われます。ところがこれらの症状が強く長く続けばどうなってしまうでしょうか?仕事を続けることはおろか、日常生活を営むだけでもつらく、しんどい状況になっていくとおもわれます。

うつ病は頻度の高い精神疾患であり、100人に5人の割合で生涯罹患する可能性があるといわれています。

うつ病の主な病型分類

 うつ病は頻度の高い疾患であり、ストレスの多い現代社会において年々増加傾向にあります。うつ病については古くから多くのサブタイプが指摘されてきております。臨床場面で使用される分類も多数あり、ここではいくつかをご紹介させていただきます。

 まずはうつ病の原因から分類する方法です。うつ病の原因とは、うつ病の発症の引き金となった根本のことをいいます。うつ状態は精神的な要因で発症するもの(内因性うつ病)もあれば、身体疾患や現在服用しているお薬が原因で発症する場合もあります。あるいは外界のストレスや環境の影響を受け発症するうつ病もあれば、性格や思考の癖からうつ状態になってしまう場合もあります。

 身体疾患が原因のうつ病とは、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病のような脳の病気、甲状腺機能低下症や女性ホルモンに関与するような病態や膠原病など身体の病気が要因となりうつ状態になってしまう場合もあります。メンタルクリニックでも血液検査や過去の病歴、身体の具合などの問診がなされるのはこのためです。身体疾患が原因のうつ病であればカウンセリングや抗うつ剤を使用するよりも、原因となっている身体疾患の治療が優先されます。

 また副腎皮質ステロイド、インターフェロンなどの抗ウイルス剤、ある種の抗ヒスタミン剤の類もうつ状態を引き起こす薬剤として知られています。現在服用しているお薬がうつ状態の原因になっている可能性もありますのでお気軽にご相談ください。
 
 内因性うつ病というのは昔から提唱されている古典的なうつ病であり、通常は抗うつ薬がよく効きます。ただ、うつ病を治療せずに放っておくと重症化してしまい入院加療が必要なほどの状態になる場合もあります。本人の苦しみを考慮しますと、早く治療したほうがよいことは言うまでもありません。また家族や周囲の方の「気づき」も重要です。本人に少しでも「うつの徴候」があるようなら心療内科や精神科、メンタルクリニック等を受診できるようにご協力いただきますようお願いいたします。

 心因性うつ病とは、その方の性格や置かれている立場、家族関係や外的ストレスがうつ状態に強く関係している場合です。抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあり、環境の影響が強い場合は反応性うつ病という言葉もあります。この場合は診察やカウンセリングを通し、ストレスの対処法を身につけていくのも効果的です。認知行動療法とよばれる思考の癖、認知の歪みを修正する精神療法も効果的です。

うつ病の症状

 うつ病で一般にみられる症状をご紹介します。あくまでも一般的にいわれている症状ですので自己判断はせずに症状の早期発見のための一つの指標とぐらいに捉えておいてください。これに当てはまらないからといってうつ病が否定されたわけではありません。ご自身のこころの調子の変化に早めにきづくことが大切です。家族や周囲関係者であれば、相手の症状にあてはまるかどうかを確認し、うつ病のことを思い浮かべていただき、治療につなげていけるようにご協力をお願いいたします。

うつ状態での態度や外見

 うつ病では口数が少なくなり、表情の変化が乏しくなります。話声は小さくなり、会話の内容も貧困で単調なものとなります。目に活気がなくなり、視線の動きが乏しくなります。眉間にしわを寄せ続けている人もいます。動作は遅く、周囲に関心を失ってしまいます。うつ病のタイプによっては不安、焦燥感が強く、じっと座っていられないといった症状がみられる場合もあります。

うつ病の感情障害

 うつ病の中核的な症状が感情の障害です。「気分が落ち込む」「なんとなくものがなしい」「すべてがむなしい」「涙があふれてくる」。このような訴えで表出されるような症状となります。漠然とした身体の不調、重苦しさとしても感じられ、「重苦しい気分」「うっとうしい感じ」と表現される場合もあります。うつ状態がひどくなると何事にも感情が動かなくなり、抑うつ悲哀感を感じず、感情を失ったような感覚に陥る場合もあります。「楽しい感じがしない」「何にも興味がもてない」「自分が自分ではないような気がする」といった離人症状が表出してくる場合もあります。

 また不安はさまざまなこころの病気に伴いますが、うつ病でも主要な症状のひとつです。自分のすることや考えに自信がもてず、何をするにも不安になっていきます。

うつ病における意欲の障害

 意欲の減退は全身倦怠感、食欲不振、性欲減退という形であらわれます。このほか「お風呂に入るのがめんどくさい」「人にあうのが億劫」「食事をとりたくない」などと訴えるようになります。集中力が低下し、テレビや本をよんでも頭に入ってこず長続きしません。興味や関心が失われるため、今まで好きだった趣味や遊びにむかえなくなってしまいます。休日は自分の趣味に没頭したり、友人と外出したりして楽しくすごしていた時間がだんだんと億劫になっていきます。あるいは、何かにとりかかろうと思っていてもなかなか行動に移せないような場合は精神運動制止や精神運動抑制などと呼ばれたりもします。

 日常生活はなんとかこなせていても複雑な業務や集中力を要する作業になると実際の作業能率が悪いため、普段の何倍もの時間を要したり、著しい疲労感におそわれることとなります。
 また物事の決断力や判断力が低下するため、あれこれ迷って決められないといったような訴えでも表出されます。

うつ病の方の考え方

​ 思考の障害とは、思考の流れが遅くなり、考える発想や着想も乏しく、頭の回転が悪くなったように感じます。このため理解力や判断力、集中力が低下し、業務の作業能率が悪くなります。患者さまの訴えでは「なかなか頭にはいってこない。」「考えがまとまらない。」「頭が真っ白になった感じで考えがうかばない。」等の表現でお話をされます。

 65歳以上の高齢者の方となると、思考の障害により注意力や記憶力が低下するため家族や周囲の方が認知症になったのではないかと心配して受診に至るケースもあります。これは仮性認知症とよばれる状態で、うつ病の方が認知症様の症状が出現しているときにこのように表現されます。本来のうつ状態が改善すれば、思考の障害も改善するため、注意力や記憶力も本来の状態に改善します。

 思考の内容そのものが障害される場合もあります。悲観的になり、自分の能力やふがいなさに絶望をおぼえることもあります。健康状態を過小評価したり、業務にたいする劣等感、無力感を感じる場合もあります。自分が何をするにも取り越し苦労をし、一日中頭の中が悲観的な考えでいっぱいになって過ごすことになります。

 自分のことばかりを責め、過去のことを悔みつづけるような場合もあります。「自分のせいで仕事のプロジェクトがうまくいかなかった。」「あんなことをしたせいで職場の人間に迷惑をかけた。」と考えるようになっていってしまいます。

 思考の障害が著しく悪化した場合は妄想のような極端な考え方をしてしまうようなケースもあります。たとえば、うつ状態では自分自身を実際よりも低く評価し、自分は価値のない存在だと考えるようになります。その考えが非常に極端で現実離れしているときに「微小妄想」とよびます。微小妄想として代表的なものに「心気妄想」「罪業妄想」「貧困妄想」といったものがあります。

 心気妄想とは、身体の些細な不調を重大な病気にかかってしまったと思い込むことです。咳がなかなかおさまらず「自分は癌になってしまった」と確信を抱くような場合がそうです。「不治の病におかされてしまった。」「自分の病気はもう一生なおらない。」といった表現がされる場合もあります。

 罪業妄想とは、過去の些細なことに固執し、深刻なまでに自分を責めたて、「自分は重大なミスをおかし、罪に問われる。」といった訴えです。仕事の失敗をすべて自分のせいにしたり、自分がおかした些細なルール違反は重大な処罰に値するといった考えもあてはまります。「自分のせいで迷惑をかけて申し訳ない。」「罪に問われるため家族をやしなっていくことができない。」等の訴えで表現される場合もあります。

 貧困妄想とは、経済的には問題がないはずなのに、極端にお金の心配をしてしまうような場合があてはまります。「お金がないのでこれから生活していけない。」「治療費が払えないので病院には行かない。」「自分のせいで一家が路頭に迷う。」等の訴えで表現される場合があります。

うつ病で出現する身体の症状

 うつ病はこころの症状だけではなく、さまざまな身体の症状が出現してきます。代表的なものが睡眠障害です。寝付きの悪い入眠障害、眠りがあさく夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒、朝はやく目が覚めてしまいそこから再び入眠できない等の早朝覚醒など、さまざまな睡眠障害が出現してきます。特徴としてはREM睡眠潜時の短縮と徐波睡眠の減少や夢をみることが多いなどがあげられます。これとは逆に過眠を訴える患者さまもおられます。うつ病では睡眠の状態が正常から逸脱してしまうようです。睡眠障害はうつ病発症の最初のサインともいわれています。

 自律神経症状として多種多様な症状が出現します。胸の苦しさ、呼吸がしにくい、胸部圧迫感、胸痛、動悸、息切れ、呼吸困難感、めまい、耳鳴り、顔のほてり、のぼせ、頭痛、肩こり、頭重感、背部痛、腰痛、喉頭違和感、飲み込みにくさ、舌の痛み、しびれ、異常な発汗、排尿障害、手足の熱感、冷感、眼精疲労、身体の重さ、全身倦怠感、勃起障害、射精障害、月経異常など、ありとあらゆる症状がでてくる場合があります。うつ病の中核症状である気分や意欲の症状はあまり目立たず、身体症状が前景となるケースもあります。内科や耳鼻科、婦人科、整形外科などを受診し、各種の検査を実施しても症状の原因がはっきりせず心療内科に紹介されて受診につながるケースも多々あります。

うつ病の治療

 うつ病の治療において、もっとも大切なことは充分な休養です。充分な睡眠をとり、脳と身体に休息を与えてあげることが何より重要です。

 次に大切なのが抗うつ薬による薬物療法です。うつ病の原因の一つに脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)の低下が考えられています。抗うつ薬は脳内で低下した神経伝達物質を増やす働きをもっています。抗うつ薬は即効性がなく、毎日服用し、徐々に脳内神経伝達物質を増加させていきます。

 充分な休養と薬物療法により時間をかけてゆっくりと回復に向かっていきます。

うつ病の休職診断書について

 うつ病を早期に改善していくには何よりも休養が大切です。普段勤務をされている方はなかなか休職することは難しいかもしれませんが、無理をして仕事を続けますと、ますます症状は悪化し、回復への時間がかかってしまう場合もあります。

 このため休職診断書を職場に提出し、身体と脳に休息を与えてあげることが何よりの治療薬となります。梅田あかつきメンタルクリニックでは症状にあわせた休職診断書を即日作成、即日発行することが可能です。無理をして頑張るよりも、立ち止まってゆっくりと休息をとることも考えてみてください。

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